昨年、岩波少年文庫の創刊60周年のときに
宮崎駿さんが岩波少年文庫のなかから50冊を選んで推薦文をつけました。
その直筆の推薦文は全国を巡回展示したのですが、これはそれをまとめた本。
第一部は推薦文を、第二部は過去のインタビューに加筆修正した宮崎駿さんの児童文学への思いを載せています。
推薦文がまずよくて、読んだことあるものもないものも手にとりたくなります。
かっこつけもかたくるしさもない、こんなところがいいよ、という自然な語りかけ。
わたしは読んだことがなかった「バラとゆびわ」と「ムギと王さま」、「思い出のマーニー」が読みたくなりました。
あと第二部のほうで紹介されてた、岩波少年文庫ではないのですが、東京創元社の「魔使い」シリーズも!
そして第二部の、特に震災後に書かれた文章が、とても心に残ります。
児童文学というものは、基本として「やり直しのきく物語」だと。
ときにどうにもならない人間の真実を書いたりする文学とはちがって、なにかうまくないことが起こっても、それ超えてもう一度やりなおしがきくんだよ、という再生の物語。
生きててよかった、生きてていいんだという子どもたちへエールをおくるものとして、児童文学があるのであり、それは「こどもにむかって絶望を説くな」ということなんだと。
この本は児童文学をおすすめする本ですが、この本で宮崎駿さんが向き合っているのは大人です。
児童文学をたくさん読んできた大人も、あまり縁がなかった大人も、
今あえて児童文学を読んでみる、そのきっかけの本になったらいいなと思う本でした。
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