読書が進まない日々が続いていますが、それでも少しづつ、買ったまま積み上げられていた本を読み始めています。

これもそのうちの一冊。動物行動学者の日高敏隆さんのエッセイ集「世界を、こんなふうに見てごらん」。
若い読者にも届く易しい言葉で、科学や自然について綴っています。
学者さんのエッセイといっても、なにか小ネタになるような知識を散りばめたものではなく、ユーモアたっぷりに人の考え方や感じ方をやわらかく解きほぐすような内容になっています。

科学的に見て考えないと正しくものを理解出来ないような空気が世の中にはあるけれど、ほんとうにそうなのか。
確かに科学はこの世界にわかりやすい筋道を見せることができるけれど、そうして「正しく見えた」ことが「ほんとうに正しい」ことなのか。
科学にしろ宗教にしろ、絶対唯一の正しさを持つことは生きやすくしてくれるかもしれないけれど、寄って立つ地面を持たずにいることは不安で大変でも、だからこそ楽しいんじゃないかな?
「なぜ」をもつこと。観察すること。
そんな、人や動物をみるときの著者なりのヒントが集められています。

情報はいっぱいあるけれど、なにか揺らいでいて何を感じていいのかすら迷う、そんな最近の気分に合う一冊でした。

そしてこの本のなかで紹介されてた「鼻行類」という、ある生物について解説された翻訳書がとっても読みたくなってしまった。
「鼻行類」を読んで、他に読んだ誰かと、その鼻で歩くという奇妙な生物のことと著者のいたずら心について語り合いたいものです。

世界を、こんなふうに見てごらん

2011年5月3日 22:38.
投稿者:マキ
カテゴリー:よむよむ
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